愛知県名古屋市の夫婦カウンセリング、リボーンの今枝朱美です。
日々、多くのご夫婦のお悩みに向き合い、解決へのアドバイスをさせていただいています。
―夫婦は「同じテーブルについている共同制作者」
仕事では相手の気持ちを読み、
うまくコミュニケーションが取れているのに、
なぜか妻とはうまく話せない。
こうしたご相談は、とても多いものです。
一見すると「能力の問題」に見えるかもしれません。
でも実際には、そうではありません。

まず一番大きいのは、
「仕事は役割、家庭は自分」になっていることです。
営業の場では、
- 相手のニーズを読む
- 相手に合わせて言葉を選ぶ
というのは「仕事としてのスキル」です。
つまり、
「うまくやる」ために意識的に行っています。
一方で妻に対しては、
- 気を遣わなくてもいい存在
- わかってくれるはずの相手
という前提になりやすい。
その結果、
本来持っているスキルを使わなくなってしまうのです。
次にあるのが、
「評価される場」と「評価されない場」の違いです。
営業では、
- 成績
- 上司の評価
- 契約という結果
がはっきりしています。
だからこそ、
相手を理解しようとする動機が自然と働きます。
しかし家庭では、
- 点数もない
- クレームも曖昧
- 頑張っても評価されている実感が薄い
そのため、
意識的に努力し続ける理由が弱くなってしまうのです。
さらにもう一歩踏み込むと、
「甘え」と「防衛」が同時に働いています。
妻に対しては、
- 素の自分でいたい(甘え)
- 否定されたくない(防衛)
この2つが混ざります。
すると、
相手の気持ちを読む前に、
- 言い訳
- 無関心
- 沈黙
といった“自分を守る反応”が出てしまい、
結果としてコミュニケーションが途切れていきます。
そして見落とされやすいのが、
「同じ言語で話していない」問題です。
たとえば妻が
「気持ちをわかってほしい」と言っているのに、
夫は
「どうすれば解決するか」で返してしまう。
ここに、大きなズレが生まれます。
まとめると、このタイプの男性は
能力がないのではなく、
使う場面を間違えている(あるいは使っていない)
状態なのです。
では、どう捉え直せばいいのでしょうか。
私はよく、こうお伝えしています。
奥さんは“攻略対象”ではなく“共有相手”です。
営業の世界には、
- 相手のニーズを読み取る
- 提案して納得してもらう
という流れがあります。
ここにはどこか、
“相手を動かす”構造があります。
一方で夫婦は、
- どちらかが正解を持っているわけではない
- 説得して終わる関係でもない
むしろ、
「あなたはどう感じているの?」
「私はこう感じている」
このやり取りを重ねながら、
二人で納得できる形をつくっていく関係です。
ですから夫婦は、
「チームメイト」というよりも、
同じテーブルについている共同制作者
と捉えた方が、しっくりきます。
向かい合って戦うのではなく、
横に並んで、一つのものを一緒に見ている関係。
どちらが正しいかを決めるのではなく、
違いを持ち寄って、形をつくっていく関係。
この見方に変わるだけで、
「どうすればわかってもらえるか」から
「この人はどう感じているのか」へと、
関わり方が自然に変わっていきます。
夫婦関係がうまくいかないとき、
問題は“能力”ではなく、
関係の捉え方にあることが少なくありません。
その相手は、
説得する相手でしょうか。
それとも、
同じテーブルについている共同制作者でしょうか。

